夏祭りでは“おばけ屋敷”が人気で、怖いもの見たさに親にせがんだ気がします。
江戸時代の俳諧連句の付句を集めた「武玉川」に“盛り上げられて動く蒟蒻”という句があります。大きな歓声をあげて煽られ、盛り上げられて、人が動揺する様を、皿に大量に盛り上げられたこんにゃくがブルブル動く様子に見立てた句だそうです。
同じように、「蒟蒻の幽霊」ということわざがあります。日本の幽霊が体の前に両手を揃えてブルブル震わせながら登場することから、いつもブルブルと震えて頼りない様子を意味するようです。
また、物や状態がグラついて安定しないものを「蒟蒻を馬につけたよう」といったそうですから、江戸の人はブルブルと動くこんにゃくが不思議に見えたのでしょうね。
時は変わって現代では、ブルブル動くこんにゃくを生かして、「オオサンショウウオこんにゃく」のような「キモかわいい」商品も作られています。古くから食されているこんにゃくですが、その時代の人間の感性にマッチし続けているようです。